記憶

myu19802011-01-14

白黒のハリウッド映画『ある夜の出来事』だったと思う。

ヒロインが幸せの絶頂で

「こんなに素敵な思い出を、香水の壜につめて、好きなときにとりだせたらなんて幸せなんでしょう。」

ということを言うシーンがあって、学生の頃、なんて素敵な言葉なんだろうとノートに書きとめて、胸がときめいたことをふと思い出した。

というのも、友達と記憶について話していたから。

記憶は、曖昧でしっかりと鮮明に思い出すことが出来ない。
鮮烈な記憶は確かにあって、それを手に取るように思い出すことが出来ても、自分自身の主観であって、それがどれだけの事実であるのか、はっきりと認知することは出来ない。喜びや楽しいことも、痛みや悲しみも。

でも、もし、香水の壜に思い出を詰めることが出来て、いつでも取り出すことができたら、どうなんだろう。私だったら、その思い出に浸ってしまって、きっと今、目の前に広がる新しいところへ進めなくなっちゃいそう。

だから、人っていいなぁ。
いろんなことも、歳を重ねるとちょっと曖昧になってぼんやりしてくる。
変換して覚えてしまう。年齢を重ねるというのは、そういう効果もあるんだろうなぁ。まだまだ、煩悩ばかりであちゃーやけど。

植田正治さんの『白い風』を眺めていると、今までのいろんな記憶を追体験するような、忘れていた小さい頃のあたたかな記憶、なんとも言えないさみしさを思い出させてくれる。記憶のことを考えていたら、このポストカード集に惹かれたのが、そういうところもあるってちょっとわかったよ。