福岡TRIP2 11.21.19

今屋のバーガー屋さんから福岡市立美術館へ歩くこと20分。

大きな池がある大濠公園に到着した。

冬のあたたかい日差しが気持ちよくてゆっくり歩く。家族連れや散歩中の人がちらほら。

池の方へ近寄ってみたが、小虫がぶんぶんしていたので歩道の方へすぐに戻る。

福岡美術館へ到着し、せっかくなので『ギュスターヴ・モローサロメと宿命の女たち』を観ることにした。神話や聖書、「サロメ」の物語について全く知識がなかったのだが、魅惑的で妖艶なサロメに惚れていた王が舞のご褒美としてなんでも欲しいものをあげると約束し、サロメが欲したものは愛した男の生首という一場面が、なんとも神々しくかつ恐ろしいなとも思う画。ファムファタルの女性は圧倒的な存在感で幻想的で美しいのだが、モローの母親や自身の恋人など身近な人を描いた画の方に心惹かれた。

 

その後、今回の目的であった梅田哲也「うたの起源」の近現代美術室Bへ向かう。受付の人の話によると常設展示内にあり、あちらこちらに点在しておりますのでと会場マップをもらう。

 

薄暗い部屋を覗くと雑多にいろんなものが置かれた物置のような部屋で球体が動く様が見えた。暗がりの中、ライトに照らされた球体がゆっくりと回遊する影絵のような空間。

 

その後、ちょっとした仕掛け、遊びのある作品を見て、夕方にしか観れない作品があることを知り、他のコレクションも見ることにした。コレクションハイライト1美術史を彩った巨匠たち。こちらもモロー展に続き裸婦画が多く、レオナール・フジタ『仰臥裸婦』の白い肌がまぶしい美しい女性と猫を見てうっとりし、砂場に顔が布で隠された裸婦が描かれて砂場に横たわる絵。海と砂場の色合い、貝殻が描かれて、からっとした明るさの色気があった三岸好太郎『海と射光』。どちらのポストカードも購入。

 

美術館が閉館した17時から展示がスタートするまで約一時間ほどあったので近くの喫茶店で珈琲を飲み、夕暮れに染まる大濠公園を30分ほど散策。

 

大きな池に映る夕日と、水面に映されたビル、空にはいっぱいのオレンジ。ここに来てよかったと思う。昔、読んだ保坂さんの残響の表紙みたいな空。ベンチで休む人がみんなそれぞれの携帯で写真を撮っている。

 

17時ちょうどに作品が展示されている場所へ向かう。階段を上がると2組の人がいて写真を撮っていた。近づいていくと、ちょうど見終わった後なのか、立ち去っていった。昼間はターンテーブルや丸い球体が置かれていたのだが、夜になるとターンテーブルが回転している。円盤台から水が跳ねているように見える光の輪が見えた。高速で回転しているので、少しづつ形が変わっていく様子がおもしろくて見ていてちっとも飽きない。もう一つは火の玉のような光が少しづつ形を変えながら、壁をゆっくりとつたい、回遊している。展示作品は館内にあるので隔てられた窓から10歩ぐらい離れて観ると、また近いてみるのとは違う楽しみがある。美術館の反対側にあるビル群が窓に映り込み、火の玉が散歩しているようにも見える。少しずつ暮れてゆく夕日、少しずつ近づいてくる夜。小さい頃、夕暮れ時に遊んでいたら、夜が近づくその色が変わる瞬間が楽しかったのを思い出した。いろんなことがいっぱいになって涙が出た。30分間誰も訪れず、贅沢な時間だった。

 

その後、吉田類さんの酒場放浪記で紹介されていた大衆居酒屋へ。知らない土地の酒場、分厚い木製の扉を開けるのは緊張したが、チャレンジは大事とvinylmanさんが言っていたのを思い出す。結果、常連の方と飲み語らい、楽しかった。

 

ホテルに帰って就寝。

 

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